都市計画Town&Country Planning

日本の国土がかくも脆弱になったのは、『都市計画の不在』の一点に尽きる。都市計画という発想、理念の共有と実践が未だなされていない。
一時的な技術革新や海外貿易の変化で都市計画不在のまま農地を宅地に転用してしまったために、基礎集落と共有地や農地の管理がおざなりになり、結果として底支えのある強い農業を維持できなくなってきている。
美容院を住宅に併設したような小規模なものに限り店舗の建築を許可し良好な住宅地と農地との親和性を保持しようとして住居系土地利用が指定された住宅地の先に、たまたま調達できた土地があるということで巨大な商業施設が作られることで、長期的な土地利用によって保持されてきた社会経済システムが崩壊しようとしている。農村地域の秩序の崩壊、生産・流通・消費という地域の経済循環の崩壊、地価形成の崩壊に伴う徴税原資の損耗、極めつけは、商店街のシャッター通り化という地域経済の孵化装置の消失である。
本来、自由闊達な経済活動を支える基盤を整えるのが都市計画の役割である。
地場の生産者と卸業、小売業が連携して地域住民に商品提供する場、意欲的な若者が起業する場、同業種・異業種の店が切磋琢磨する場、そのような場である商店街が崩壊すると、地域の経済循環が滞り、地域経済が決定的なダメージを受ける。
都市計画の発動によって、そのような孵化装置としての商店街を育てること、すなわち、1)(当然のことだが)商業活動を合理的な理由で「商業地域」と定めた場所に限定する。2)公共交通機関のサービス、駐車場、広場公園、散歩道、交流施設等を都市計画として基盤整備する。3)地域住民の活動や起業化等のイノベーションを促すためのNPO等による媒介者としての活動を促進する。・・・などの対応策が必要である。
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住民活動、文化・交流は中心市街地で、お買物・商業活動は郊外SCで、というような「そうなってしまったからしかたがない」的な対応では、ますますわが国の国土を脆弱なものにする。
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いい加減に、とりあえず今が良ければいい、という色んなことに終止符を打たねば。
コインパーキングって、象徴的ですね。とりあえず便利で私もよく使う。地主さんも遊ばせておくよりも、設備投資も小さいし、収益が上がる。皆んな幸せ。でも、こんな状態続けていたら、今より少しでも良好な都市環境を次の世代に残すことなんてできっこない。
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日本民族は、例えば西部開拓時代のアメリカのように、お金を出し合って保安官を雇い地域社会の安全を手に入れる、というような経験に乏しいので、・・・。本当にそうだろうか?困った時には力を合わせる、というのが人類の当たり前の姿であり、今がまさに困った時なのではないのか。力を合わせないとできないのが都市計画なのだが。都市と農村の土地をどのように使うか、ということは誰かが決めてもうまくいかない。使い方を皆んなで決めねば土地は、どんどん荒廃する。。