レイヤー

『レイヤー化する世界』佐々木俊尚、『幼年時代坂口恭平をほぼ同時に読了。
近代が到達した世界が、デコレーションケーキの入った化粧箱のような、内と外がハッキリした国民国家の集合する世界だとすれば、未来はインターネットというお皿上に乗ったオープンサンドのような内外のハッキリしないアメーバーのような世界になるだろうというのが佐々木の説。音楽の分野で言えばオープンサンドのパンがアイチューンズ、上に乗ったハムやレタスや卵などの具材がミュージシャンやディレクターやスマートフォンであり、レコード会社はもはや必要とされなくなっている。。レコード会社を国民国家に置き換えると、世界はグーグルやAmazonのような超国籍企業の上に乗った民族や国境、言語、政治、金融、産業、雇用、文化等の多層なレイヤーで覆われたオープンサンドイッチであり、個人はレイヤーを重ねたプリズムの帯のようなものになる。••••••
一方、坂口恭平もレイヤーという言葉をよく口にする。個人の中にある多層なレイヤーの一つとして幼年時代の自分を切り取って忘れないように書き留めたのがこの作品か。