道具考 01

手仕事時代の道具
農機具で言えば鋤鍬(すき・くわ)、大工道具では鋸鉋(のこぎり・かんな)、兵器では刀や槍、

機械時代の道具
農機具で言えばトラクター、建設機械のブルトーザーやダンプ、兵器では機関銃や戦艦、戦闘機

IT(情報化)時代の道具
農機具というより農業技術としての遺伝子組み替え、兵器では核ミサイル・・・

自分に身近な「文房具」をとりあげてみると、
手仕事時代の紙と鉛筆、機械時代のカメラやテープレコーダー、IT時代のコンピューターやインターネットがあげられる。
今使っているコンピューターやインターネットなどのIT時代の道具のキモ(特徴)は、情報処理、すなわちソフトウェア技術にある。ソフトウェアは生き物のように常に動いているので落ち着きがない。
数年前、日本建築学会で歴史に残る名建築の設計図をいかに保存するかという議論では、デジタルデータはソフトウェアの有効期間に信頼性が十分でないので結局「紙」で保存するのがよい、という結論に至ったように思う。
一概に言えないが、はっきりしていることは生物としての人間の脳や身体能力は、そんなに変わらないだろうということ。それを前提に、各時代に発達した質の高い道具を保持していきたい。ただ、これがなかなか至難の技で、時代が変わると前の時代の道具が駆逐されることが多い。