音楽の再生

iPodが登場する少し前だったと思うが、USBメモリーのようなもので音楽が聴けるものが登場した時には戸惑った。というか、一瞬感覚が麻痺した。レコード盤、テープ、ビデオテープ。ハンディカムで使うビデオテープは情報量を稼ぐ為にヘッドがナナメに信号を読んでいっていることにウ〜ン、コンナン作る人偉い!と感心したものだ。その後CDになってもやっぱり音楽という時間のゲイジュツを再生するマシンには駆動装置がついていることは視覚的に正しく、ココロの安定をもたらしていた。ところが、である。何も動いていないのに音楽が進行するのだ。ななな、なんだ、という戸惑いである。ビートを打つ心臓のない生き物のような不気味さも感じた。時間を刻む信号を送って音素をつむぎ出せば音楽を再生することは可能だ。パワポの自動プレゼンと同じだと、頭の中で考えてみても、どうも合点がいかずに今に至っている。うまく説明してくれる人がいたら聞きたいものだ。
で、先だって修理できた電蓄(蓄音機)を今日もかけてみて、ターンテーブルで回るレコード盤に刻まれた溝にダイヤモンド針がタッチし、物理的な信号を電気の力を借りて増幅しスピーカーに伝え、再び空気の振動に変え、音響となって部屋を満たすことに大大満足し、心が安定するのである。