生命

 ボイスレコーダーを手にした時に奇妙な感覚に襲われた。「死んでいるのに生き物を宿している」と。レコードでもCDでも時間の変化とともに媒体が物理的に動くことによって最終的に音を空気の振動に乗せて鼓膜に伝える。これはエジソンが発明した蓄音機の時からそうだった。なのに、ボイスレコーダーでは何も動かない。
 遺伝子が膨大な書物のようなものだとすると、ボイスレコーダーのようなものなのかもしれない。生命をつかさどるものは意外と「死んでる」のかも。
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