メイラード(反応)
文=福岡伸一(翼の王国)の発見も大きかったが、もっと大きくて飛行機の座席でのけぞってしまった記事が『大坂のうまいモンの味の深淵、魅惑の《メイラード反応》』だった。どうせ読者はネットで調べるだろう、という編集者の魂胆でメイラードの解説はいっさいないのだが(実際は先頭2行目に少しあったが、興奮して読み飛ばしていた)、ずっとこのことをどこかの学会で発表しようと思っていて(笑)、かつて大坂の会社に勤務していたころに慣れ親しんだお好み焼き・たこ焼き・焼き鳥・一口ぎょうざ・串かつという大坂の5大ファストフードの写真を見ただけで私はピン、ピン、ピピンときて読む前から何が書いてあるのかわかってしまった。だけど一応読んだ。
熊本ラーメンの香ばしさとスープの茶系の色に『おいしい』の本質があり、九州各地にあまたあるラーメン群のなかで熊本ラーメンが半馬身ほど前に出ている、そのわけもここにある。し、しかし、ANA機内誌では、お好み焼き・たこ焼き・焼き鳥・一口ぎょうざ・串かつという大坂の5大ファストフードに関するおいしさリテラシーに貢献しようという目的が、『表面がカリッと焼き上がり茶色になり、香ばしさを増す』メイラード反応という解説によって成し遂げられていた。